麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



「どうしてザヴァヌ王は、そんな許されない研究をしていたのでしょう」

「ヨルゴード国の騎士よりも、強い手下を生み出すためだろうな。騎士は所詮人間だ。不老不死に近い妖精王を相手取るには、力不足だと判断したんだろう」


 エヴィニエ王を狙って魔力を奪うために、禁忌の研究を長年続けていたの?

 その瞬間、恐ろしい仮説が浮かび上がった。記憶の中に光ったのは、古びた時計塔に現れた白い竜だ。


「まさか、ザヴァヌ王がラグネ国を滅亡させたのは、強い合成獣を作るために、竜人族を利用するつもりだったから……!?」

「おそらくな。そして、暴君にとっては、やっと手に入れた竜人族を浄化させてしまう聖女様が邪魔だったんだ」


 前世の私が命を狙われたのも、私を馬車に乗せて殺そうとしたのも、全て計画を邪魔されないための策略だったのである。

 ハーランツさんは、眉を寄せて低く続けた。


「時計塔で白竜は俺の名前を呼び、“逃げろ”と言った。間違いなくラグネ国で捕らえられた同胞だ。一度亡くなった体に魔力を注がれて、自我をわずかに残したまま操られている」