ハーランツさんのつぶやきは、目的地にたどり着いた確信を得ていた。
いかにも研究所と呼ぶべき広い部屋だ。得体の知れない液体が注がれた試験管と、何枚も魔法陣が描かれた紙が、机に乱雑に置かれている。
外国の文字が書かれた錬金釜や棚に保管された薬品は、全て初めて見るものだわ。不気味で、うかつに近寄りたくない。
遠慮なく部屋を物色し、机の資料に目を通すハーランツさんは、真剣な顔つきで口を開く。
「これは禁忌の魔法陣か。市民に公開されていない城の書庫でも見たことがある」
雑用として整理を頼まれた、カビ臭い書庫が頭に浮かんだ。
「禁忌の魔法陣って、なんですか?」
「合成獣の錬成ができる陣だよ。あれは自然界で生まれるものではない。全て、ザヴァヌ王が作り出して世に放っていたんだ」
騎士達が「ひっ」と顔をひきつらせる。
そうか。この地域でやけに合成獣が多いのは、作り出す研究所が近くにあったからなんだ。
ハーランツさんは、解読したメモをインクで黒く潰していたのは、禁忌の魔法陣が万が一にでも第三者の目に触れるリスクを避けるためだと説明した。



