「もう城が見えてきた。城下町近くの森に降りよう」
しばらく空中散歩を楽しみ、ハーランツさんが窓の外を眺めてつぶやいた。見慣れたヨルゴード国は、一週間離れていただけで懐かしい。
しかし、警戒すらせず城に戻った途端、寮に入る前に門番の騎士に止められた。目の前に槍を掲げられ、進路が塞がる。
「一体なんの真似だ?」
ハーランツさんが眉を寄せ、門番は低い声に怯みながらも負けじと答えた。
「『アルティア=ミメーヌは職務を怠った反逆者だから中に入れるな』とのザヴァヌ王のお達しが出たんです」
なんですって?
耳を疑う前に、城からイグニス副団長が出てきた。状況を説明してもらおうとするものの、話しかける前に、ぐんと勢いよく体を肩に担がれる。
「な、なにをするんですか!?」
「悪いな、子猫。団長の指示なんだ。お前が戻ったら、闘技場に運べってな」
彼は、珍しく動揺をあらわにするハーランツさんにも声をかけた。
「弟子の処遇が気になるなら、お前も来い。あの暴君も闘技場にいるはずだ」



