記事によれば、仮面舞踏会では招待客の怪我人は出なかったものの、国境の古城の警備を買って出ていたナラエラ国への非難が集中したらしい。
ファニー王女の侍女の婚約は破談になったそうで、ヨルゴード国との関係が悪化していた。
エヴィニエ王は静かに息を吐く。
「まったく、したたかで欲深い男だ。合成獣を攻め込ませておいて、罪をナラエラ国になすりつけ、自分は高みの見物ときた」
「どういう意味です?」
「すべてはザヴァヌの計算のうちという意味だよ。あの男が私有地だというのに警備を他国に任せたのも、端から責任逃れを狙っていたからだ」
なんという非情な真実だろう。やっと違和感の正体に気がつく。
ヨルゴード国が警備をしなかったのは、合成獣を操った張本人がザヴァヌ王だったからなんだ。
「なぜ、合成獣を攻め込ませたのですか? 自分も危険に晒されるのに」
「命の危機より野望を取っただけの話さ。ファニー王女の招待客に私がいて、不老不死の魔力を殺して奪う絶好の機会だと思ったんだろう」



