うなじに添えていた手があごにすべり、親指で唇をなぞられる。端正な顔立ちだからこそ、怒っていると数倍怖い。
恐怖とはまた違う震えが身体中を駆け巡った瞬間、流れるように唇を奪われた。
初めての口付けは甘く優しいものではない。息継ぎもうまくできないほど容赦なく攻め立てられる。
「まっ、て……っ、ハーランツ、さん」
「待たない。あんな言霊を飛ばす口は、俺が塞いでやる」
背中を抱きこむ力は強くなり、いつのまにか後頭部を大きな手のひらに支えられて身動きが取れない。
抗おうとするたびにキスは深くなって、ふわふわした甘い感情に頭の中が支配されていく。呼吸が精一杯で、鼻から抜けるような恥ずかしい声を漏らすしかできなくなる。
体を押し返す力も抜けて、扉に背中を預けながら膝から床に崩れ落ちるものの、お仕置きと言わんばかりの熱烈なキスは止まらなかった。
やがて薄い唇と柔らかい舌の熱さを覚えた頃、小さな水音とともに彼が離れる。
強く強く抱きしめられて、言葉が出ない。



