手を差し伸べられてベッドから出ると、廊下まで案内をされる。
お辞儀をして別れた後、エヴィニエ王が飛ばしてくれた光に導かれながら廊下を進んだ。不老不死の魔力を狙われているだけあって、城内は複雑な作りになっている。
やがて、一室の前で光が消えた。ひとけのない廊下は静まりかえっていて、ノックの音が大きく響く。
中から返事はないわ。まだ寝ているのかしら。早く顔を見たい。
おずおずとドアノブをひねった途端、いきおいよく扉が開いた。
「わっ!?」
開いた扉の隙間から腕が伸びて、部屋の中に引き込まれる。背後で扉が閉められると同時に、厚い胸板に抱きとめられた。
体はガーゼの上に包帯が巻かれており、鍛え抜かれた大胸筋と腹直筋が視界に飛び込む。
がっしりと背中を抱き、私のうなじに手を添えているのはハーランツさんだ。
目が合うものの、いつもの柔らかい眼差しはそこにはない。怖いくらい冷たい表情で、その中にも燃えたぎる情を宿していた。
「あの命令をしたのは、この口か?」



