麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 血の繋がりがあるなら、ハーランツさんが王子様ってこと? まったく知らなかった! 正真正銘の王族だったのね。

 たしかに、食事の仕方や所作から品と教養があるとは感じていたけれど、まさか本当に王子様だとは思わなかった。


『ご家族はいらっしゃらないのですか?』

『血縁者はおりますが、数回しか会わない仲なので』


 そういえば、かつてハーランツさんはこんな話をしていた。


「ハーランツさんはラグネ国出身でしょう? 本来なら、アルヴ国で暮らすはずではありませんか?」

「実は、私の不老不死の魔力を狙う輩が多くてな。側に家族を置くのが危険で、妻にはラグネ国で暮らしてもらっていた。公務の合間をぬって、時々会いに行ったよ。こういうのは、今どきは通い婚というんだったか?」

「なるほど、事情があったのですね」

「ああ。妻が亡くなってから、まだ赤子のあいつをいっとき引き取ったんだが、どうにも懐いてくれなくてな。あやそうとしても火を吐かれて黒焦げにされるものだから、見かねた長老がラグネ国で育ての親になったのだ」