麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 どうやら、目の前の彼はザヴァヌ王に匹敵するほどの大魔法使いのようだ。高貴なマントに身を包んで悠然と座る姿は、会話が緊張するほどのオーラがある。

 安心感が胸に広がると同時に、ある疑問が浮かぶ。


「なぜ、ミティアという名前をご存じなのですか? アルティアとしか名乗っていないはずなのに」

「そりゃあ、息子の想い人がどんな女性か気になるだろう? 仮面舞踏会への道中で、根掘り葉掘り聞いてやった。とてもうっとうしがられて、ほとんど無視されてしまったけどね」


 にこにこして楽しそうな彼の返答に理解が追いつかない。

 私がハテナさんの息子の想い人? 王族の知り合いはいないはず。妖精の王子様に会った記憶もないわ。

 すると、戸惑っている心中を察したのか、彼は穏やかに目を細めた。


「ああ、申し遅れたね。私の名はエヴィニエ=レオポルト。妖精の住まうアルヴ国の王だ」

「エヴィニエ……レオポルト?」


 その瞬間、頭の中の点と点が線になる。

 聞き覚えのある名字は、ハーランツさんと一緒だ。容姿が似ているのも、穏やかでどこか食えない性格も、底知れないオーラも、全ては親子だったからである。