合成獣の恐怖が去ったと気を緩めた瞬間、たくましい腕に体を包まれて押し倒される。
後頭部に手を差し入れられ、ふたり揃って倒れた途端、上空に鋭い爪が横切った。立っていたままだったら、引き裂かれていたかもしれない。
古びた時計塔の壁を崩しながら展望台に降り立ったシルエットを見て、呼吸が止まる。
それは、真っ白な大きい竜だった。
しかし、ラグネの里で出会った澄んだ瞳ではない。傷だらけの白竜は、まるで何かに操られるように燃える赤い瞳でこちらを睨んでいる。
「どういうことだ……?」
ハーランツさんの表情がこわばった。
状況を理解する間もなく、鋭い牙を剥いて襲いかかる白竜を、彼はとっさに剣で受け止める。硬いウロコは剣撃をもろともしない。
ハーランツさんが私を庇い、ひとりで白竜の相手をするものの、激しい動揺で攻めあぐねているようだ。
どうにかして加勢に入りたいけど、戦いに踏み込んだら、間違いなく足を引っ張る。ここは、言霊の魔力で動きを止めるしか……!



