遠くから悲鳴が響き、塔の外が騒がしい。
窓から外へ視線をやると、目に入ったのは仮面舞踏会の会場から大慌てで逃げだすゲスト達の姿だ。
ザヴァヌ王の私室を出て塔を降りた後、ハーランツさんとともに物陰に身を隠す。
言霊の魔力によって眠らされた騎士達を揺り起こしながら怒号を飛ばすのは、オルデン団長である。
「職務中に惰眠をむさぼるとは何事か! 早く招待客の避難誘導に向かえ!」
「はっ! だ、団長! 私は一体……ずいぶんと騒がしいですけど、トラブルですか?」
「多数の合成獣が現れたんだ。幸いにも、群れの多くは無人の時計塔に集中している。今のうちに会場の招待客を馬車で逃さなくてはならない」
多数の合成獣ですって?
ハーランツさんと顔を見合わせて、冷や汗が頬に流れる。
ヨルゴード国の各地に合成獣が現れると聞いていたとはいえ、まさか、こんなところにまで現れるとは予想していなかった。
ザヴァヌ王は招待客よりも早く馬車に乗り込み、古城の警備を担当していたファニー王女は、ナラエラ国の騎士団を率いて合成獣の制圧に手を焼いているらしい。



