麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 そういえば、以前ハーランツさんの部屋で見た暗号を解読した文にも、竜人族の詳細が記されていた。

 文の意味はよく分からなかったけど、ハーランツさんは何かしらの見当がついたようだ。

 一方の木箱には、鍵がひとつ入っていた。

 ハーランツさんが丁寧に粘土を敷き詰めた箱に押し当て、鍵の型をとっている。


「その鍵は、この部屋のスペアキーですか?」

「いや。おそらく、ザヴァヌ王の所有する研究所のものだ」

「研究所? 暴君には科学的な一面もあったのですね」

「そんなに褒められたものじゃない。文明を発展させるものではなく、神に背く研究だよ」


 今回の侵入の目的は、この鍵型を取ることだと彼は言った。

 こうやって徐々にザヴァヌ王の隠している悪行の証拠を集めて、いずれ告発でもするつもりなのだろうか。

 それよりも、命を奪う前にザヴァヌ王の犯してきた罪の全てを明るみにする気なのかもしれない。


「過去を知れば知るほど謎が増えていくばかりで、余計に頭が混乱してしまいます。結局、ザヴァヌ王の目的は何なのでしょうか」


 ハーランツさんが金庫を元に戻し、口を開きかけたそのときだった。