「何が書いてあるのですか?」
「これは暴君の悪事の記録さ。以前、ヨルゴード国にいた宮廷書記官が、裏取引や暗躍の歴史を事細かく記したんだ。その書記官も、口封じのために処刑されてしまったけどな」
数百枚は超えるであろう書類が、全て悪事の記録? 命を狙われた時点でわかってはいたけれど、ザヴァヌ王は思っていた以上に君主に相応しくない男なんだ。
文を追っていた視線が、ある一点で止まる。
「気になる文がありましたか?」
「ラグネ惨禍の記録だ。聖女様の暗殺計画というより、竜人族の生態や魔力の構築がメインで書かれている」
「聖女の暗殺だけでなく、竜人族そのものに目をつけられていたのでしょうか」
「あり得る仮説だな」
『聖女がおさめるラグネ国は、人里離れた秘境に存在した。聖女を除く住民は竜人族であり、戦闘力、防御力ともに優れている。
竜の姿では杖の魔力に反応がみられ、適性がある可能性が高い』



