扉には案の定鍵がかかっていたものの、ハーランツさんは難なく細いピンで解錠する。
部屋には、重厚な執務机にシックな色合いのソファが置かれていて、本棚は辞書並みにページ数のある本がたくさん並んでいた。
一見、なんの変哲もない私室だが、目を引くのは背の高さほどある金庫だ。
ダイヤル式の鍵がいくつも付いており、簡単に開きそうにない。
分厚い金庫の扉に耳を当てたハーランツさんは、指に伝わる感覚とかすかに響く音に神経を研ぎ澄ませている。
「この中に探し物があるのですか?」
「ああ、俺の予想が合っていればな」
やがて、金属のパーツ同士が合わさる音が響いた。
ものの数分で鍵を開けた技に感心するのも束の間、金庫の中に入っていたものを見た瞬間、目を見開く。
そこには、手書きで書き連ねられた膨大な量の資料と小さな木箱が入っていた。
資料は全て暗号化されているようだが、ハーランツさんにとっては読み解くのにそう難しくないものらしい。



