緊迫した雰囲気が流れ、彼らは眉を寄せた。小さく息を吸い込み、目を逸らさず言い放つ。
「“しばらくここで眠りなさい”!」
屈強な騎士が言霊の魔力に縛られて、夢の中へ落ちていく。
騎士達の頬を軽くつねってみるが、すぐには起きない。
「味方でいてくれるんだな」
レンガの壁の陰から現れたハーランツさんは、腕を組みながら苦笑していた。
「悪事かそうでないかは、今すぐに判断できるものではありませんから。その代わり、私も付いて行かせてください」
私の頼みを察していたらしい彼は、スマートに手を引いて歩きだす。
ザヴァヌ王の私室がある塔は、時計塔よりも掃除が行き届いており、深紅の絨毯が敷かれた廊下は蜘蛛の巣ひとつなかった。
壁のところどころに燭台が取り付けられており、ハーランツさんが通るたびに竜の青い炎が灯っていく。
階段を登り、最上階へとやって来た。どうやら、最上階にひとつしかない扉の先がザヴァヌ王の私室のようだ。



