立派な剣を携えているため、嘘をついているわけではないようだ。腕章は、階級によってデザインが違うのだろうか。
外の世界についてはまったくの無知であるため、いきなり目の前に現れた騎士の情報がなにひとつ掴めない。
「失礼」
声をかけて私を優しく地面へ下ろした彼は、流れるようにひざまずいて胸に手を当てる。
「申し遅れました。俺の名はハーランツ=レオポルト。ヨルゴード国の騎士団に所属しております」
ヨルゴード国の騎士団といえば、あの最強と謳われる実力主義の組織だ。そういえば、私を迎えに来てくれた騎士も同じ制服を着ていたような。
母国語は違うといえど、流暢なサハナ国語を披露する彼は語学力に長けており、頭のキレも良いと察することができた。
「もしかして、ハーランツさんも私を国へ案内するために来てくださったんですか? ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「迷惑なんてとんでもない。怖い思いをしたのは聖女様の方なのに、こちらを気づかうとはお優しいですね」
「いえ、そんな。お仲間の騎士さん達は無事でしょうか? 事故に巻き込まれていないといいですけど……」



