本音を言えば、ハーランツさんに罪を犯してほしくなかった。
でも、いくつもの夜を超えても脳裏に焼き付いて離れない惨禍が彼を縛り付けているのなら、険しいイバラの道だとしても、解放される未来を一緒に探したい。
「ハーランツさん。これからは気を使いすぎないでくださいね。私のほうが六つも歳下なのに敬語でうやまっていたのは、聖女の生まれ変わりだというのが関係しているのでしょう?」
「そうかもしれません。大切に接したいと考えていたのもありますけど……敬語はお嫌いですか?」
「嫌いというより、他人行儀な気がして少し寂しいです。いつまでも“聖女様”ですし」
素直な彼に刺激されて、胸につかえていた想いが溢れた。
こんなに長い時間語り合った日はなかったから、少しだけ勇気を出してみる。
アルティアと呼ばれ、気のおけない師匠と弟子の関係になれたのが嬉しかった。彼の素を見れたようでドキドキした。
もっと違うふたりの形があるなら、知りたくなる。



