麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 触れられた肌が熱い。信じられないほど心臓が音を立てている。

 慕っていた聖女の生まれ変わりだとか、大切な愛弟子だとか、そういう意味ではないと鈍い私でもすぐわかった。

 今まで本心を隠して追及を交わしてきたのに、こんな急に素直になられると緊張でどうにかなりそう。


「今度こそ、俺に守らせてください。生かされた命をあなたのためだけに使いたいんです」


 それは、二十年前の悪夢で見た六歳の少年とはまるで違った。小さな手を懸命に広げて私の行く手を阻んでいた子どもではない。

 鍛え抜かれた体と安心感のある筋肉質な腕、大人の男性らしい低く色気の帯びた声。

 護衛をかって出ていた華奢な少年が、こんなにも頼れる私だけの騎士になった。


「私もハーランツさんのお役に立ちたいです。守られているだけなんて、性に合いませんから」


 きっと、前世の私もそう言っただろう。

 せっかく男装までしてヨルゴード国の騎士団に入ったのだ。毎日の厳しい訓練をくぐり抜け、言霊の魔力も使いながら、ようやく公務に出られるところまで来た。

 まだまだ未熟だとしても、彼を支える力が欲しい。