憎くて仕方がないザヴァヌ王の信頼を得るために、彼の指示を受け入れて、時には盾になりながら、自分を殺してきたのだろう。
どんな目に遭っても復讐は誰も幸せになれない。そうわかっているのに、私がなにを言っても彼が止まってくれないと確信があるのが辛かった。
「慈悲深い聖女様は、俺の罪も赦してくれますか」
なんて答えればいいのかわからない。
彼が罪に手を染めるのは見過ごせなかった。でも、その気持ちは痛いほどわかる。
私の力を利用して犯罪の片棒を担がせようとしていたと知っても、命を救って大切に接してくれていたのが伝わるから、責める気は起きない。
背中を追っていた聖女に生かされた先の未来で、どれだけの悲しみと憎しみを抱えたのだろう。
残ったのは、無力感と首謀者への深い恨み。
それでも、本当の彼は真面目で誠実で、誰よりも優しい。その芯は腐らずに、今もここにある。ラグネの里の民や騎士団の仲間に慕われているのが、何よりの証拠だ。
「前世の私が復讐の道を選ばせてしまったのだとすれば……救いたいです、あなたを」



