「なぜ、ラグネ惨禍をご存じで? 前世の記憶がおありなのですか?」
「いえ、資料に挟まっていたハーランツさんのメモを読んでしまったんです。すみません、勝手に」
「ラグネ国の文字が読めるなんて、やはり、あなたは俺の知る聖女様の生まれ変わりなのですね」
メモを読んだとき、知らないはずの言語がすらすらと頭の中に流れ込んできた。
ハーランツさんが母国語としてプライベートで使用する文字は、ラグネ国のものだったんだ。
彼の話では、二十年前に突然大量の合成獣が攻め入り、ラグネ国の滅亡を招く悲劇が起こったらしい。
前世の私も大人たちを率いて戦ったそうだが、聖女の力では抑えきれないほどの惨状だったのだろう。
『故郷に合成獣を攻め込ませ、理性を失った獣に襲われた悲劇の国として事故処理をする……』
『実際、聖女が治めていた小国を滅ぼした前科があります』
ハーランツさんと初めて出会った際に、彼が言っていた話が頭をよぎった。
点と点が線になり、恐ろしい真実に気がつく。
「まさか、私や多くの罪のない民を殺してラグネ国を滅ぼしたのは、ザヴァヌ王なのですか?」



