麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 前世の記憶をさらに思い出せないか唸っていたとき、突然、部屋の引き戸が開いた。

 現れたのは、簡易な浴衣っぽい民族衣装をまとったハーランツさんだ。

 視線が交わった途端にお互い動きが止まり、彼の青い瞳に一瞬だけ激しい動揺が走る。


「……やられた」


 無意識につぶやくハーランツさんの頬が若干赤い。目元もいつもよりとろんとしている気がする。


「もしかして、少し酔っておられますか?」

「付き合いだけのつもりが結構飲まされてしまって……でも、今、一瞬で酔いがさめました」


 額に手を当てた彼は、ラグネの里の住民たちが気を回して寝室を同じにしたのだと察したようだ。

 彼の様子に同じく理解した私も、急に緊張して体が熱くなる。


「お休みのところ、すみません。俺は別室を用意してもらいますので、ごゆっくり」

「あっ……」


 背を向けて立ち去ろうとする服の裾を、つい掴んだ。引き止める力に驚いて振り向くハーランツさんに、はっとする。