そのとき、部屋の扉が叩かれた。
顔を出したのは白い肌の華奢な少年である。
警戒しつつも小さく頭を下げた彼は、間違いなく地下牢に投獄されてハーランツさんに逃がされた少年だ。
名前をルカトルといい、長老の付き人をしているらしい。表情があまり変わらず、クールで真面目そうな印象を受ける。
「ミティア様の寝室をご用意しました。橋を渡った先の別館を自由にお使いください」
お礼を告げて、長老たちと別れる。
ルカトルの言う通り、清らかな庭園にかかる橋があり、別館と呼ばれた建物は入り口に民族的な装飾が施された灯籠が灯っていた。
中は一部屋で、外がやや透けるくらいの薄さの紙が窓枠に貼られ、まるで部屋そのものが灯籠になったようなお洒落な空間だ。
もともと来客用の部屋らしく、隅に布団が二組たたんで用意されてある。
敷いた後に掛け布団の刺繍を眺めた。やはり、どこか懐かしく見覚えがある。
転生説には驚いたけど、再びこの里に帰って来れたのは運命だったのかしら。



