麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 長老さまが懐から取り出した古い写真には、里の人々に囲まれる美しい女性が写っていた。黄金の髪をひとつに縛り、甲冑を着た凛々しい姿だ。

 これが、前世の私? 容姿はあまり似ていないみたい。

 でも、この里に来た頃から、初めて来たはずなのに懐かしく温かい不思議な感覚がする。これは、気のせいではなかったんだ。


「この足元にいる黒髪の少年は、もしかして?」

「ああ、幼少期のハーランツじゃ。あやつは聖女様によく懐いておった。物心がついて剣を持った頃には、聖女様の護衛を名乗ってよく後をついてまわっていたな」


 ぱっちりとした青い目とお人形さんみたいな整った顔立ちの少年が、立派な剣を腰に携えて写っている。

 次の瞬間、脳裏にノイズがかかったような違和感がした。

 頭に流れ込んできたのは、町が業火に包まれる例の悪夢だ。

 目の前に手を広げて立ちはだかる少年の顔にはいつもモヤがかかっていたが、やっと鮮明に景色が映し出される。

 まさか、あれは前世の記憶だったの?


「おそらく、ハーランツも察しているじゃろう。聖女様の生まれ変わりであるミティアさんと出会ったのは、運命かもしれんな」