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「ーーさま、聖女様ーー」
低く心地よい男性の声だ。色っぽくて、どこか甘い。
私を呼んでいる?
「起きてください、聖女様。でないと、このまま連れ去ってしまいますよ」
とんでもないセリフが聞こえた気がして、はっとまぶたを上げた。
至近距離に映ったのは、長いまつ毛に縁取られた綺麗な青い瞳である。スッと通った鼻筋に薄く形の良い唇。
サラサラの黒い髪を耳にかけた見目麗しい男性が、私の体を王子様のごとく抱きかかえていた。
驚きのあまり言葉を出せずに目を丸くしていると、彼のクールな表情がやや緩む。
「やっと気がついた。痛いところはありませんか?」
「は、はい。平気です」
聞くだけで体の芯が震えるような低く甘い声の持ち主は彼だったらしい。
状況が掴めずに辺りを見回したところ、空はすっかり晴れわたっており、木々の合間から木漏れ日が差し込んでいた。
どうやら、崖の下は森が広がっていたようだ。
ところどころ枝が折れている箇所があり、落下した際に緩衝材になったことがうかがえた。
それより私、生きている?
「ーーさま、聖女様ーー」
低く心地よい男性の声だ。色っぽくて、どこか甘い。
私を呼んでいる?
「起きてください、聖女様。でないと、このまま連れ去ってしまいますよ」
とんでもないセリフが聞こえた気がして、はっとまぶたを上げた。
至近距離に映ったのは、長いまつ毛に縁取られた綺麗な青い瞳である。スッと通った鼻筋に薄く形の良い唇。
サラサラの黒い髪を耳にかけた見目麗しい男性が、私の体を王子様のごとく抱きかかえていた。
驚きのあまり言葉を出せずに目を丸くしていると、彼のクールな表情がやや緩む。
「やっと気がついた。痛いところはありませんか?」
「は、はい。平気です」
聞くだけで体の芯が震えるような低く甘い声の持ち主は彼だったらしい。
状況が掴めずに辺りを見回したところ、空はすっかり晴れわたっており、木々の合間から木漏れ日が差し込んでいた。
どうやら、崖の下は森が広がっていたようだ。
ところどころ枝が折れている箇所があり、落下した際に緩衝材になったことがうかがえた。
それより私、生きている?



