麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない

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「驚かせて悪かったのう。つい、幸福で胸がいっぱいになってしまってな」


 温かい風呂を借りて着替えた後、里で一番大きな屋敷に案内された私は、長老と向かい合って座っていた。

 ハーランツさんは意地でも側にいようとしていたが、積もる話をしたい里の人々によって大広間に連れて行かれてしまったのだ。

 王都ヨルゴードの騎士団に入った彼は里の英雄扱いされているらしく、民に慕われているのがよく伝わってきた。

 ログハウス風の温かみのある丸太作りの部屋には民族衣装と同じ柄の絨毯が敷かれていて、どことなく心が落ち着く。


「ミティアさんと言ったか。改めて、ラグネの里によくおいでなさった。わしはこの里で一番の年寄りじゃから、皆からはいつしか長老と呼ばれておる。好きに呼んでくれ」

「突然お邪魔してすみません。あの、長老さまとは初めまして……ですよね?」

「あぁ、混乱させてすまなかった。いたんじゃよ、この里にも。お主と同じ、言霊の魔力を持った聖女がな」