さっきまでの出来事を思い出すと怖くて眠れなくてベッドの中で息を殺して涙を流す





彼に聞こえないように必死に声を抑える





物音が少ししたと思ったら彼が私の目の前にいてベッドに腰かける音がする






「なぁ…お前枢のこと好きじゃないのか…」







その名前に嫌でも反応してしまう






なんでそんなこと…聞くの…







聞いて何になるって言うの…






「好きじゃないよ…大っ嫌い…」






「そうか…」






そう言うと彼は黙り込む






ベッドがまた軋むと彼がソファに戻ったのかその後は話すことは無かった





この時はなぜ彼がこのようなことを聞いたのかなんて気づいていなかった





朝…起きると彼はもう高速でパソコンの操作をしている





私は後ろから彼を眺める






彼は私の視線に気づき振り返る





「起きたのか…朝は食べるのか?」






「まだ大丈夫…」






なんとなく遠慮してしまう






ご飯を食べたいと思う気分でもない






彼はパソコンを閉じ立ち上がるとパンやらお菓子やらを持ってくるとベットの前のテーブルに置く






私は食べなくてはと思い1つ手に取りほお張る






あの時から食事はとっていないからおなかがすいていたのは事実





また彼が置いたものの中からおにぎりを手に取り食べる







おいしい





男はパソコンをずっとカタカタ鳴らす





彼が自己紹介をさっきしてくれた




彼の名前は雅永遠(みやびとわ)


あの男と彼は従兄弟同士



そして雅さんはこの男のお姉さん



187cmもある身長


髪の毛は栗色でサラサラで滑らかな髪の毛を前髪だけピンで止めている




肌は透き通るように白く瞳は一重だけど切れ目で鼻筋は綺麗に通っている



体にはあの男と一緒で刺青が体中に広がっている




あの男の場合は威厳という言葉が似合うと思うけど



永遠…彼には綺麗という言葉がとても似合う…




その後は何もすることなんてなく…ただ眠りにつく






気づいたら夜だった





時計を確認すると夜の10時





もうこんな時間…





部屋を見るけど彼の姿はない





私は部屋をまわるけど何ひとつとして思い出の品などが置かれていなくてこの颯爽とした部屋に驚く





歩くと部屋の奥にまだ知らない扉があったけれどかぎがかかっていて開けられなかった






でもやっぱり少し気になる





かちゃん






彼が帰ってきたら音がして振り向くと






彼はぼろぼろの姿だった




全身血だらけで私は彼に駆け寄る






「なんだ…心配してくれなくてもいいから早く寝ろ」








そう言うけど







この他は返り血なのだろうか…







彼は痛そうには見えないが唇の横を怪我している







「…私何か…」






いいからゆっくり休め






そういうと彼は脱衣所に向かう






彼が戻ってくるまでベッドに座って待ってる






彼が戻ってくると面倒臭そうに私を見る




「私…いつまでここにいていいの?






「知らねぇよ…好きなだけいたらいいだろ。ここの場所は俺しか知らないから」








誰にもバレないってことになるけど






あの男ならすぐここを突き止めるんじゃ…






「枢…?アイツもここを知らないよ…でもいつバレるか分からないからまた新しいところを探さないとな」






そう言うと彼は飲み物を持つと私の前の机に置く





「飲めよ…別になんも入ってないし」





1口飲む暖かいものかじわっと体に染み込む






あぁ…私の居場所ってなんだろ





考えても答えが出ないこの問題





1週間この生活が続いた






彼は私に手を出さずただ食べ物などをくれる






基本的に枢と一緒で昼間はずっと眠っているかパソコンを触っていて夜になったら家を出る






その生活の繰り返し






衣服などは男物しか用意しておらず下着類も選択しては同じものを使うの繰り返しで洗濯中は布を巻いている






彼が言うには買い物でもなんでも枢が監視しているからネットでもハッキングされたらすぐバレるからだと言われた







彼は毎日血だらけで帰ってきてその時だけ黒い空気を纏っている