私ーーーー栞をいじめてた。








嫌いだった。



転校してきた時から、その容姿端麗で私が当時好きだった人の気持ちまで、奪っていった栞が。



憎くて憎くてーー仕方なかった。


見た目にコンプレックスな私から見たら、容姿端麗な栞は、邪魔な人物だった。



あの日ーーーー
見えない場所で、少しずつ栞を痛め付けて、屋上で私が、栞を突き飛ばした。

ただ、怖がせるつもりだけの行為。

確かにあの屋上には、柵はない。
だけどまさか、あれだけで簡単に落ちてしまうなんて思わなかった。


「ーーーー大丈夫よ、卒業までもう少し。みんな忘れてくから、こんな事件」



どうせ、卒業まであと何日。
卒業したら、みんながみんな忘れてくーー忘れて行かなきゃいけないこと。




そしてーー私の記憶から栞が消えた。