夜の早送り








ぐっと近づいた距離。この次に起こることの予想なんて、あまりにも容易だ。

回避できる時間はいくらでもあったのに、徐々に埋め尽くされる視界を受け入れたのは紛れもなく私の意思だ。



瀬尾を拒否する理由なんて、私にある訳がなかった。



「せ、お」

「うん」

「瀬尾、」

「うん」

「瀬尾っ」

「うん、星名」



​───俺のこと、好き?






続きを紡ぐ前に重なった温度。

瀬尾以外、もう何も考えられなくなった。






end.