「…お母さん、何切れか食べたでしょ」


「え、そ、そんなわけないじゃない」


「うそ。じゃあどうして“美味しい”って分かるの?」



うん、お母さんからメロンの匂いプンプンするしね。

心なしかさっきよりお肌ぷるっぷるのツヤッツヤになってる感じするし。


それにばつの悪そうに誤魔化してるとこから…黒でしょ。



「いつもいつもフライングするんだから。ちょっとは我慢してよ」


「だってつい食べたくなっちゃうのよ!ほら毒味だと思えば!」



毒味って…。

見るからに美味しいけど、このメロン。



「あはは、わかりますよ。匂い嗅いでるだけで味見したくなりますよね」


「そうなのよ~!さぁ高槻くん食べて食べて!」


「先輩、お母さんのは味見なんて可愛いレベルじゃないんです。もはや食事なんですから」



冷淡ロボットだよね?こいつ。

ここは冷淡ロボットの家で、その母親が俺の目の前に居るんだよね?


ねぇ、そんなのぜんぜん思えないんだけど。



「ふふっ……おいしい…」



だってほら───…笑ってる。