「はいこれ。俺が食べておいたから」



赤いお弁当箱が入ったチェック柄の小さなバッグ。


食べておいたって…階段に散らばってしまったはずだ。

本当にこの人の言うことって、なんていうか適当。



「…先輩が、運んでくれたんですか」


「そだよ?なんかすごい音してさ、戻れば案の定寝ている誰かさんが居てね」


「…余計なこと…しないでください」



あぁ、こんな感情的になりたくない。


だけどあなたは余計なことばかりをする。

先輩がわたしに関われば、わたしだけじゃなく先輩までもハブられてしまう。


そんなの責任取れない。
保証はできないって言ったばかりなのに。



「喧嘩なら他所でやりなさいよー?」



保険医はとくに心配する素振りはしないまま、分厚いファイルを手にして保健室を出て行った。


しんと静まり返る空気。



「先輩がわたしに関わると、ろくなことが起きないんです」


「だから?」


「だ、だから…もう関わらないでください」