「そのスイートピー…やっぱり高槻くんだったのね。
いつも私が来るよりも先に飾られているから、もしかしてってずっと思ってたの」
その4年間の静かな行動は、ここにきて見破られてしまったらしい。
墓参りに来ない薄情なヤツだと思ってくれて全然良かったし、彼女の身内には極力会いたくなかったから。
だから今まで逃げてた。
「彩、高槻くんはやっぱり優しい子ね」
墓場に笑いかける母親は、その石へと自分の娘に語りかけるように柔らかい眼差しをしていた。
「…俺の話、してたりしたんですか」
「えぇ。あまねくんあまねくんって、彩が初めて学校の子の話をしてくれてたの」
なんだよ、それ。
だったら俺にその話をしてよ彩。
いつもいつも大人しくて気持ちをあまり言ってくれないから、ぜんぜん知らなかったじゃん。
「すごく楽しそうに話してくれるのよ。よほど好きだったのね」
「…俺も、…すごく好きでした」
「…ありがとう高槻くん」
本当に好きだったんだよ俺。
たとえ釣り合ってないって目で周りから見られても、そんなのどーでもいいくらい。



