「先輩、彼女を作るなら…彩に似てない子にしてください」
「…なんで」
「わたしが、嫌ですから」
そんなの、嫌だ。
彩に似てる子なんてわたしだけで十分。
「…やっぱり俺のこと好きなんじゃん」
「……前、言いました」
「あんなサラッとした告白、未だかつて聞いたことないよ」
だってああ言うしか無かった。
応えてくれないことを知っている告白なんて、それに告白自体が初めてだった。
好きな人が出来たのも、誰かに恋をしたのも初めて。
たくさん伝えたい気持ちを考えて、照れながらも気持ちを伝えることなんか出来ない。
結果が分かってるからこそ、そんなふうに可愛くなんか出来ない。
それに冷淡ロボットにそんなものインプットされてない。
「それで先輩は……幸せに、なってください」
好きな人が笑ってることが一番の幸せなんです───なんて台詞を、なにかのドラマで見たことがあった。
そのときは綺麗事としか思えなくて、なに言ってるんだろう…なんて分からなかったけど。



