先輩は身を乗り出すようにして椅子から立ち上がった。
顎を支えられてクイッと上げられる。
そこに容赦なく甘く優しくて、震えてるキスが落ちてきた。
「…わたしは…、死にません。だから先輩は安心して転校してください」
「ふっ、なんかその言い方ムカつく」
「先輩がもっと優しい扱いしてくれてたら、こうなってません」
「…俺は結構かなり優しくしてきたつもり」
いつの間にか椅子から降りて、床に座り込むわたし。
その横には先輩がいて窓際の端っこ。
廊下を歩く先生の足音から逃れるように身を隠して。
「んっ…、先輩、いたい…、」
「いっぱい付けるよ、最後だもん」
ちゅっ、じゅっ。
吸い付く吸盤みたいだ。
首筋に、肩に。
制服を強引に緩めてまでも付けてくる。
「…なんか、ショートだと男子生徒犯してる気分にもなるね」
「……そういう意味だったんですか」
「違うから。断じてホモじゃない俺は」
なんて冗談を言い合って、クスッと笑って。
それでもやっぱり歪んでしまう。



