「80歳になっても高校3年生してろって?」
沈黙を破るように、自然と会話が戻された。
「80歳…?」
「だって一生教えてくれないんでしょ?俺ずっと高校生してるよそれ」
くすっと、笑ってしまった。
先輩が80歳なんて想像できない。
でも確かにいつか訪れる未来。
「…決めたんです、わたし」
「困ったことにそこから一向に進まないんだよね会話が。リープしてんの」
「決めたんです」
ほら、リープ。
先輩は呆れながらも柔らかく微笑んだ。
「私、先輩になります」
「……捕捉してもらっていい?」
「先輩に、なるんです」
「いやなってないから」
先輩のツッコミはわりと早い。
センスあると思うから、お笑い芸人も向いてる気がする。
……なんて。
「先輩になるって、2年生になれば自然とそうなるでしょ」
わたしの言葉っ足らずなものにも、一々丁寧に返してくれる。
それを分かってるから今まで溜めて溜めて言わなかった。



