とある先輩の、歪んだ狂愛。





隣町の高校で卒業をして、そのまま進学。

今日この時間が先輩とこうして話せる最後の日だ。



「───…よし」



パタンと日誌を閉じたとき、目の前には椅子に座る先輩。


今日は早く書き終わってしまった。

前みたいにわざと遅くしたりなんかしない。

だって、そんなきっかけを作らなくても話し合える空気は出来てるから。



「前、決めたって言ってたでしょ。俺それ聞かないと気になって転校も卒業も出来そうにないんだけど」


「じゃあ一生言いません」


「…まーた可愛いこと言っちゃって」



そんなことをわざわざ言わなくていい。

震えそうな唇をぐっと噛んで堪える。



「そっち、行っていい?」


「…駄目です」


「なんでよ」



そう言う声も、優しい。

無理強いはするつもりないみたいで、先輩は瞳を伏せた。


でもこうして向き合ってるよりはいいかも…って言い終わってから思ってしまった。


まっすぐ先輩を見れそうにない。