「…なーに、そんなに見つめて。あ、キスしたい?」


「っ…、ち、ちがいます」


「なんだ残念」



唇尖ってますけど、お嬢さん。

もう誤魔化さなくていいじゃん別に。



「じゃあ俺がしたいからしていい?」


「…んっ、」



ぎゅっと固く目を閉じて硬直する背中に、そっと腕を回す。

俺たちの関係は歪みに歪んで狂いに狂って今。


付き合ってるの?
いいえ、付き合ってません。

じゃあそーいう関係なの?
いいえ、そーいう関係でもありません。


だけど俺たちがしたいからしてます。
それじゃ駄目ですか?

なんて、自問自答。



「抱き締めてもいい?」


「…一々、聞かなくていいです」



これ、依存?
これって依存なの?

それだったら依存でもいいよ全然。


だってこいつこんなに可愛い顔してるし、俺だって誰か別の女に重ねて接してるわけじゃない。


これは───…依存?



「俺が居なくてもほんとに大丈夫?」


「大丈夫です」


「だって容赦なくいじめられるよ?誰も守ってくれないよ?」


「平気って言ってます」