「今日はオフなの?」 「いや。午後から仕事だ」 働くねえ。 「現場、間近で見てみてーか。どうしてもっていうなら。俺から監督に頼んでやれなくもないが」 「忙しい」 「……なんだと?」 亜依に誘われている。 たぶん、いつもの流れでカラオケかな。 わたしが亜依の歌をひたすらに聴く。 「ママ、行ってもいいかしら?」 「母さんは来るな」 「ひどいっ」 「……ほら、海の近くだし。寒いから。家にいろって」 「そう?」 今のうちに部屋に戻って準備しよう。