「どういうこと?」
「怖くない、から、えっと」
怖い、という気持ちはない。確かに相手が日野くん以外ならぞっとする。けど相手は日野くんだ。私は今はどうしようもなく彼を好きになってしまっている。怖さや気持ち悪さはない。だから怖い。彼だから特別で、いいやと思っている。それは多分、彼が以前他者からの好意は気持ち悪くて、私だけが例外だと言っていたことと同じなのだと思う。
「どういう意味?」
「普通なら犯罪だし、絶対警察に通報するよ。気持ち悪いし怖い。でも、今、私は何も怖くないし気持ち悪さが無くて、それですごい戸惑ってる……。だって普通、好きだって許せないことのはずなんだよ。多分怖いとか逃げたいとか別れたいって思うし、信頼関係とか、全部なくなっちゃう。……はずなのに、私日野くん好きすぎておかしくなってるよ絶対……。本当にやだ。日野くんの外食とかに嫉妬したらどうしよう……。本当にどうしよう」
前に、調理実習で日野くんが他の子の手作りを食べているのを見て酷くダメージを受けたことがあったし、彼を好きになった当初、あれだけ大好きだったうどんを適当に食べてしまった前科もある。カレーをクラスメイトにあげたこともあった。私は日々、この恋によって盲目になってきている。確実に。



