「え、日野くん?」
「……あのさ、あのマフィン。受け取る前から瑞香が作ったのだって、俺最初から知ってたからね」
「え?」
「作ってるのずっと見てた。っていうか俺、瑞香以外の手料理、触るのも無理だから。瑞香が作ったの知ってたから受け取ったの」
え、私が作ってたの、知ってたから受け取った? 佐々木さんだからじゃなく——?
呆然とする私に日野くんは喉の奥で笑うようにして、とても仄暗い瞳で私を見た。
「瑞香が作ったもの、私が作ったの、なんて言った泥棒には腹がたったけど、マフィンは瑞香が作ったものだからすごく嬉しくて……。だからすぐ食べた。俺の身体の中に瑞香が入ってくると思うと最高で興奮して……でも見られてたんだ。恥ずかしい」
「何か、それだと私が小さくなって日野くんの身体に入っていってるみたいじゃない?」
「いいね。全部食べて一つになれてるってことでしょ?」
日野くんの話し方が、速くなる。目は恍惚として輝いていて、興奮しているみたいだ。
あれ? でもそれなら、お弁当作りは? あれは、マフィンを食べて美味しかったからじゃ……?



