【完結】最高糖度のキミが好き




 日野くんが部屋にいることがばれたのかもしれない。消灯10分前から消灯後、他者の部屋への出入りは禁止だ。



 というかそもそも日野くんは今日休みだし、このホテルにいること自体がおかしい人だ。



 彼が怒られてしまう。絶望的な気持ちで先生の次の言葉を待っていると、先生は「この部屋湿度すごくないか? エアコンの操作は学校と違って自由にしていいんだぞ」と部屋の中のリモコンを指した。



「えっ……?」

「エアコン、湿度高すぎても熱中症になりやすくなんだからなー? 気を付けろよー? 毎年死人だって出てるんだから」



 先生は平然とした口調でそう言って、踵を返し隣の部屋へと向かっていく。



 ――日野くんに、気づいたわけではなかった?



 呆然としている間にも先生は隣の部屋のチェックを始めた。私は急いで扉を閉じて鍵を閉め大きく溜息を吐く。



 本当に気づかれなくて良かった。心臓がいくつあっても足りない。私は心を落ち着けるべく深呼吸を繰り返し、ついでに靴箱にしまった日野くんの靴を取り出した。



 たぶん、日野くんの靴はその中も濡れているだろう。手を拭くためのペーパーを数枚取り出して靴の中へと詰めていく。大方作業も終わり立ち上がると、真後ろに日野くんが立っていた。