私はその声を背に、日野くんに連れられるがまま建物と建物の間にある路地へと入って行ったのだった。
◆◆◆
息を切らしながら日野くんに腕を引かれ駆けていく。裏路地に入ってどれだけ走ったか分からないけれど、彼は徐々に速度を落とし始めてきた。そしてちらちら私より後ろのほうを確認しながら、とうとうその足を止める。
「もうここまで来ればクラスの奴らにも会わないかな。ごめんね五十嵐さん。走らせちゃって、疲れたよね?」
日野くんはそう言ってつけていたマスクを取り、眼鏡を上着のポケットに入れる。
私が半ば呆然としながら「何で」と呟くと、彼は何てことないように「仕事抜けてきた」と笑った。
「えっ、えっ!?」



