日野くんの言葉に頷く。彼は私の反応を見て「約束ね」と念を押すようにフォークを持っていないほうの手で私の手を握った。彼に手を触れられている。緊張で自然と身体が強張った。



「……そうだ」



 奇妙な沈黙を感じていると、日野くんは何かを思い出したように壁にかけているカレンダーに視線を移した。私の手を握っていた手を放し、そっとカレンダーに向けて指を示す。



「明日の、宿泊体験、仕事で俺休むんだ。だから良かったら五十嵐さんも休んで俺の仕事してるところ見に来ない?」