「日野くん……」



「だからかな、普通人に好きって言って貰えると嬉しいんだと思うけど、キモいなーって思っちゃうんだよね、俺。好きな子相手なら別だけど佐々木さんとか普通に無理。俺のこと好きっていう女の子って皆俺と話す相手攻撃したり盗み撮りとかするじゃん? 最近は女子と話すのもきつくてさー、仕事ならいいんだけど。だから五十嵐さんだけが俺の――……、五十嵐さん?」



 日野くんに呼びかけられてはっとした。冷え切った身体を擦るように腕を掴んでから、私は無理矢理笑みを浮かべた。



「ごめん日野くん、わ、私お手洗い行ってきてもいいかな?」



「う、うん」