空は赤く染まっていて、普段ならこのあたりは夕食の材料を買い求める人達とか遊んだ帰りの子供達で賑わっているはずなのに、今はすれ違う人すらほとんどいない。足音すら聞こえないほどだ。
スピーカーから聞こえてくるのはいつも聞こえた楽しくてポップなメロディではなく、どこか悲しさを感じさせるクラシックで、なんだか別の世界に来たみたいだ。
普段馴染みがあるはずの商店街に居心地の悪さを感じながら見渡していると、ポケットに入れていたスマホが振動し始めた。
画面を見ると、「日野くん」と表示されている。何かあったのかと思い急いで通話をオンに切り替えると、いつもより低い日野くんの声が聞こえた。
「五十嵐さん?」



