「え?」 「実は刃物持ってたり?人間なんて裏で何考えてるか分かんないもんだよ? 悪い人間はどこにでもいるからねえ」 日野くんの笑顔はこれまで何度も見た。でも、月明かりに照らされた今の笑い方は確実に何か、今までと違う気がする。彼はそのまま私の髪に触れた。撫でるよりなぞって掬い上げる触れ方にどうしていいか分からなくなる。