「笑わないでよ、俺本気だよ? 蹴ってもいいし、針で刺してもいいしね。ベランダから放り投げてもいいよ。ぽーんって」



 彼はおどけながら笑っている。さっきの彼はちょっと怖かったけれど、嫌われてないとか、近づいても大丈夫って言われて安心した。でもベランダから放り投げるとか、相変わらず彼の発想は突飛だ。



 そろそろ鱈もご飯も出来た頃じゃないかとオーブンや炊飯器に目を向けると、丁度完成を知らせる音が鳴り響いたのだった。