「……どうしたの?」



「今年の夏が、楽しみだなあと思って」



 日野くんの視線の先を辿ると、外に植えられている紫陽花が咲きかけていた。もうすぐ梅雨が来る。彼の横顔に視線を合わせるとどこかうっとりしていて、私は理由のわからない不安を抱いたのだった。