また篠宮くんがキスしようと顔を近づけてきたその時、車がバックする音が下から聞こえてきた。
わっ、親が帰ってきちゃった。
いつのまにか夜9時前になってる!?
「……あ、倉科の親帰ってきた?」
「ほんとだ!もう夜遅いから帰って!!
ごめんね、こんな時間まで!裏口からこっそり出たら大丈夫!」
正直、いいタイミングで帰って来てくれてよかったよ。
ただでさえ褒めるような所のない普通の容姿だと自覚しているのに、緩んでいる表情はもっと酷いに違いない。
そんな顔をこれ以上見られたくないから、逃げる口実ができた。
「……ざーんねん。もっと味わいたかったのに」
なんて呟いてるのは聞かなかったフリをして、
篠宮くんの身体をグイグイ押す。
「ほら、早くっ!」
「分かってるから押すなって。倉科は、俺以外に隙を見せるなよ?さすがにノーブラで抱きつくとかはしないと思うけど」
そっ、そそそんなこと絶対にありえない!!
いや、篠宮くんにもやったらいけないんだけどね……次から気をつけます。
急いで玄関の靴を1階の裏口まで持って行くと、結音と心音がついてきた。
「けーくん帰るの?」
「うん、お母さん達には篠宮くんが来たこと言わないでね!」
なんで?って顔する結音。質問攻めされそうだからだよ。


