とりあえず昨日のことは噂になってないみたい。

そうだよ、今時キスひとつで騒いでいるのは私くらいだよね。


篠宮くんも一刻も早く忘れたいはず。


よし、私も忘れよう!あれは一時の夢だったんだ。



「天音、おはー!」


考え事してたら、急に後ろから肩を叩かれてちょっとだけ驚いた。

振り向くと、アッシュブラウンの髪をゆるく巻いて、メイクもばっちりの派手な女の子が笑顔で立っている。


「綺羽、おはよう!」


この子は、友達の白石綾羽《しらいしあやは》。私とは違い明るくて活発な性格で、目立ちやすいんだ。

どうして自分とは正反対の子と友達なのかと言うと、入学式の時に話しかけてくれて、何回か遊びに行くうちに仲良くなったの。