***


家に着いたら即部屋に駆け込んで、ベッドに飛び込む。

枕に顔を埋めて、足をバタバタしてみるけど顔の熱が消えることはない。


「あっ……肝心のスマホ取ってくるの忘れた。何しに行ったのよ、バカ!」


だって、彼氏いたことない私にとってあれが初めてのキスだったんだよ!?

すっかり頭から抜け落ちてた。


そういえば、篠宮くんはなにをしてたんだろう。

でも、正直それどころじゃなかった。


他の女子達みたいに恋愛的に好きとまではいかないけど、文武両道な優等生で、誰にでも分け隔てなく接している篠宮くんに憧れていたんだ。


私にないものを全部持ってるから。

そんな憧れの人といきなりキスしてしまったことに動揺が隠せない。


違うクラスの全然知らない人だったら、会わなくて済むからまだマシだったかもしれない。

明日から篠宮くんの顔見れないよ、どうしよう。