えーっと、篠宮くんを好きな女子は喜んで受けるのか知らないけど、警戒心マックスな私にそれを提案してOKしてくれると思ったのかな。
今更お得意の爽やかスマイルを見せてきでも、もうキスはしない!
困惑してる間にも、ジリジリと距離を詰めようとしてきて更に後ずさった。
「そんなの聞いてないから無効だよ!!」
「今言ったから有効になった」
「意味分かんない!もう帰るからね!」
これ以上遊びに付き合ってられないよ!
篠宮くんを押し退けて今度こそ教室から出ようしたものの、気付けば私は壁側にまで来ていたらしく、追い詰められて完全に逃げられなくなってしまう。
「わっ!?」
「悪いけど、キスするまで帰さない」
だから、なんで平気で距離を詰めてくるのかな……!!
毎回ドキドキさせられる私の身になって!顔が整ってるっていいよね。顔がいいだけで何をしても許される気がするもん。
「……私としたい理由を教えてよ」
「どうしても倉科じゃないと駄目なんだ」
真剣な表情でお願いされて困惑した。
どれだけ物好きなの?
例えるならいつも高級な料理を食べてるから、たまには安いものを食べたくなるみたいに、地味な私とキスしたくなるとか?
本当にキスしなきゃ解放してもらえなさそうだから、仕方なく折れることに。
たった今、キスはしないって誓ったばかりなのに私は流されやすいからダメだ。
「…………1回だけだからね?」
「ありがとう」
「んっ………!」


